ネット友達との絶望的な一夜に終わりをくれた彼が私に伝えたかったこと

明日香

こんにちは、既婚女性30代の明日香です。
この話は私が高校生の時に経験した絶望的な人生についてです。
自殺までをも考えた高校2年の夏、私を変えたのはある男性の言動でした。
ネットで友達なんて出来るわけないと思っていた私にできた、最初で最後の友でした。
今も忘れることのない彼とのストーリーをどうぞお楽しみ下さい。

花の女子高生

私が高校生の時の話ですが、まずは高校生になるまでの私という人物の説明を軽くしておきたいと思います。

母子家庭で一人っ子、小学生時代は活発で学級委員長タイプ、中学に上がってからは勉強の成績も部活の成績も良くて友達も多く、自分で言うのはおこがましいですが周りからは一目置かれる存在でした。

3年生の終わりには初めての彼氏ができて、とても充実した毎日を送っていました。
しかしこの彼氏が、私の近い将来に大きな影響を及ぼすのです。

ある年の春、希望と期待に胸を躍らせて迎えた高校の入学式
偏差値もそれなりで、制服も可愛くて、人気のある高校だったので合格した時から嬉しくて仕方がありませんでした。
同じ中学からは同じ高校に進んだ友達がいなかったので、新しい自分になったみたいでとても新鮮でした。

初めての教室には番号順に机が並べられていて、もともと人見知りをしなかった私は前に座っていた女の子とすぐに仲良くなりました。
その子のことは以下Hと書きます。
私とHを入れた4人のグループができて、楽しい高校生活が幕を開けました。

彼とも交際は続いていて、関係も良好でしたし、理想の高校生活が送れると思いました。

友人とのトラブル

あっという間に1学期が過ぎて夏休みに入り、ある日私と私の彼、Hと当時Hが気になっていた隣のクラスのTと4人で休日を過ごす事がありました。

映画を見て、ご飯を食べて買い物をするというありきたりなプランだったのですが、ここでトラブルが起きてしまうのです。
誰もが察しやすい流れだったと思いますが、そうです、友達のHと私の彼が連絡先を交換したのです。

後でわかったことですが、Hは私に心底憧れていたらしく、私の持っているもの、趣味、私の友人関係を全て自分と同じにしたく、自分の考え方までも私と同じにしようとしていたそうです。

もちろんHと彼は連絡先を交換しただけでは終わらず、Hからの猛アピールの末ついに浮気をするのですが、私も当時は彼の事が大好きだったので諦められず、Hと彼と私の関係は泥沼のようになって行くのでした。

裏切りと一夜限りのネット友達・・・

クラスが同じHとは、教室で顔を合わせても話すことはなく、4人のグループもしだいに集まらなくなっていきました。
私たちのグループはクラスの中心的だったので、クラス中の女子と男子が気まずくなっていくようで、耐えられませんでした。

そこで、私が別のグループのMに相談をしたのですが、それが尾びれ背びれをつけてHの耳に入ってしまいました。

なぜか私がHの彼を奪った話になっていたため、教室でHを問い詰めるとHは泣き出してしまったのです。
私の事を信じてくれる人もいましたが、私は教室に行きにくくなり、次第に学校を休むようになっていきました。

中学からの親友には迷惑を掛けたくなくて話せず、母は朝から夜遅くまで仕事に出ていたし、その頃仕事が忙しくて疲れているのを知っていて心配を掛けたくなかったので、私はこのことを誰にも相談せずに自分だけで抱えてしまいました。

朝は制服を着て母が作ってくれたお弁当を持っていつもの時間に家を出ます。
そして駅までの道にある公園で時間をつぶして母が家を出てしばらくしてから家に帰るのです。

日中は携帯を見ていることが多くなり、次第に自分の価値がわからなくなり、自身がなくなり、バイトも辞めてしまい、知らないおじさんとデートをして体を売るようになっていきました。

担任の先生はなんとか私を救おうと、母にはこのことを言わずに単位の事も進級の事も取り図らってくれたので、学校の出席日数のことや成績の事は母には知られませんでした。

しつこい人

毎日が地獄のようで、色もなく、このまま自分は母に後ろめたい気持ちをずっと抱えたまま、幸せだったあの日には戻れることなく死んでいくんだな、と考え始めていた私の脳裏には、なんとなく「自殺」の文字が浮かぶのでした。

そんなある日。
体を売り始めてネットで知り合った自称30代の男性が、自暴自棄になっていた私に初めて「なぜ体を売っているんだ」と聞いてきたのです。

ただただ鬱陶しくて、ひたすら無視をしました。
それでも、彼は何度もしつこく聞くのです。

どうせ体目的だろう、一度会ったら何も言わなくなるだろうと、面倒臭いとは思いつつも、彼に会うことにしました。

彼の真意

家族が寝静まった深夜に待ち合わせをして、彼の家に向かいました。

彼と添い寝する形になって「あぁ、やっぱりな」と思っていたら、「いくらあったらやめるの?」と突然言われ、適当な金額を言いました。
割と高額だったのですが、その場で全額渡され、とても驚きました。

「俺だってしたいけど、こういうのは違うと思う」

彼の体は反応していましたが、彼がその夜に手を出してくることはありませんでした。
その後寝るのを忘れ、私の生い立ちから学校での出来事、友達とのこと、家族のことなど、彼は私の話を聞いてくれました。

そして早朝、家族が目覚める前に家に戻らなければいけなった私は彼に「ありがとう」とただ一言伝えて帰宅しました。

それから全く彼から連絡が来なくなったので私から連絡しようと思ったら、彼がインターネットから消えていたのです。
本名の苗字だけは覚えていますが、彼に会うことは二度となくなってしまいました。

多くの事を言われたわけではありませんが、彼があの夜に伝えたかったことは、私に前を向いて生きて欲しい、やり直して欲しい、という気持ちだったのかもしれません。