若手舞台俳優オタクが推しやネット友達と疎遠になってしまった黒歴史の話

サン

こんにちは、アラサー独女のサンと申します。

この記事では某若手俳優のおっかけをしていた私が、推しやネット友達とも疎遠になった黒歴史をお話します。

今流行りの2.5次元舞台にハマったことがきっかけでした。
何が私を狂わせたのか。良かったら最後まで読んでいただけたら幸いです。

アラサー独女、若手俳優と出逢う

アラサー独女の人生が変わったのは、とある2.5次元の舞台を観劇したことがきっかけだった。

元々その舞台の2次元コンテンツが大好きだった私は、舞台化が発表されたとき生身の人間が私の好きなキャラを演じることに違和感を感じており、舞台製作側及び演じる役者と私の考えるキャラ像との解釈違いが起きてしまうのではないかと極めてマイナスな感情を持っていた。

当時同じ2次元コンテンツで繋がっていたネット友達は2.5次元舞台には賛成派だったようで、

「チケット2枚あるから1回見てみてよ!見てないのにダメって決めつけるのは勿体無いって!」

と渋る私を半ば強引に誘い、ついに私は2.5次元舞台を観劇することになったのだった。

そもそも2.5次元に限らず、舞台を観劇したことがなかった私。
ざわざわした会場に突如鳴り響く

ブーーー!!!

という始まりを告げる大きなサイレンに体も心も飛び跳ねた。

眩しいほどの光の中に現れた彼ら。
私の大好きなキャラ。
そんな彼らが私と同じ世界で息をして、喜怒哀楽の感情を顕にしていた。
舞台の幕が閉じるまで、終始泣いていたように思う。こんなにも感情が大きく揺さぶられたことはなかった。

私が大好きなキャラを演じてくれた若手俳優は、顔も体の作りも整ってはいたが、それこそ紙面上に描かれる彼とは全然違った。
全然違うのに、たった1度の観劇で(このキャラを演じてくれてありがとう、君がこの子で本当に良かった・・・!)と言葉にはならないほどの感謝を覚えたのだ。
私が所持しているのは、ネット友達が譲ってくれた1枚のみ。以降のチケットはもちろんない。

しかし、やはり好きという気持ちはこの世で最も熱量のある感情なのではないだろうか。

ネット上で譲渡情報を常にチェックし取引したり、時には当日券を求めてチケットがないのにも関わらず東京に行ったり・・・
当時地方在住だった私はそれ以降せっせと東京に通うようになったのだった。

あれよあれよという間に貯金は減り、体力も消耗。
しかし、それに反比例して気力は上がる一方だからどうしようもなかった。

私を狂わせた2.5次元舞台は終わったが私の熱は冷めず、なんとその3ヶ月後には上京を決めていたのだった。

アラサー独女、若手俳優好きの友達と出逢う

私が若手俳優にハマったころ、同じくしてその若手俳優にハマったオタクが大勢いた。

そんな私たちは自分の心の中だけでは制御できない昂ぶる感情をネット上で発散し、そして気づいたら同じ推しの友達がたくさんできていた。

舞台のたびにオフ会をして、ネット上では朝まで語って、休みの日は上映会をする・・・

舞台に行けばみんなに会える=みんなに会ったら好きなことを好きなだけ話せる=楽しい!

こんな法則が脳内で勝手に作りあげられていたのだろう。

「次の観劇日はいつ?」
「この日行くよね?トークショーあるし!」
「この日お見送りある!やば!」

こんなどこにでもあるような女子の会話。
しかし、この楽しい日々にはお金がかかるということを忘れてはいけないのだった。

アラサー独女、楽しみ方を忘れる

舞台の観劇にはお金がかかる。

チケット代はピンキリだが、私が通っていたものは基本的に8000~10000円ほど。
座席で金額が変わることもあるし、手数料も高いところでは1000円ほど取られることもある。

このチケット代が月に1回だけなら大した問題ではない。
しかし私たちは同じ舞台を何回も通うのだ。

1回で全体流れを把握。
2・3回目で下手、上手の別角度で観る。4回目で推しや他の見たかった役者の表情やその他諸々を思うままに追跡。
5回目でようやく余裕を持って観劇可能となる。
それに加えて初日、千秋楽、トークショーやお見送りなどのイベントはマスト。

これでもきっとあまちゃんと呼ばれるに違いない。全通が当たり前になっている歴戦の猛者たちは数多くいるのだから。

そしてかかるのはチケット代だけじゃない。
若手俳優のオタクたちは、みんな可愛い。

メイクは当然。
みんなその舞台で目当ての若手俳優に会うために、髪の毛も可愛くする。
洋服だって出来たらその舞台、キャラのイメージに合わせたカラーや装飾がついたものが良い。

もちろん自己投資だけじゃない。

推しにはしっかりと貢ぐ。
パックや入浴剤なんてありきたりすぎて内心鼻で笑われてしまうだろう。

有名、流行りのブランドもの。センスの良い稽古着。
とにかく推しに喜んでもらいたい。
差出人を見てこの人いつも良いものくれる人だって思ってもらいたい!
その一心だった(少なくとも私はそうだった)

そして1度高いものをプレゼントしたら、次はそれよりクオリティを落としたくない。

落としたらものすごい自己嫌悪と推しへの申し訳なさに苛まれる。そんなすごいスパイラルに自らハマる。これが若手俳優のオタク。
強い意志を持って

「いや、私1舞台1観劇って決めてるから!」
「私、貢ぎはしないって決めてるの!」

なんて言える人、いるのかなぁ・・・いたらスゴイ。
是非このまま自分の意志を強く持って、自分のルールで楽しんでほしい。

いや、違う。
そうじゃなくても良いのだ。
ちゃんと自分の身の丈にあった楽しみ方をわかっていて、それで納得できていればそれで良いんだ。

つまりお給料30万もらって15万推しに費やしても良いんだったらそれで良い。
お給料15万の人が15万も費やしたら、そりゃダメだよねって話。

私は後者だったけど諦めきれなくて、ネットキャッシングに手を出した。
借金が増えて会社にはバレないように夜は日払い可能なバーで働いた。

そしたらやっぱり本職では眠くて眠くて使い物にならない。本職は辞めて夜専門で働くようになった。
人間は夜はちゃんと寝ないとダメなんだって思ったのはこのとき。

常にイライラするし過食もすごい。寝ようと思っても全然寝れない。
精神的にきっともうおかしかった。
お金無いのに、何一つ諦められないで借金してたこの頃は本当に黒歴史。自己破産だって本気で考えた。

そんなよく回ってない頭でも推しの動きはSNSでいち早く察知したかったし、私以外のみんなはどう動くのか常に気になっていた。

他の子たちに退けを取りたくない。推しのエースでいたい。

それでもあるとき、ふと思った。
そういえば友達とオフ会をすることも、好きなことについて朝まで語り合うことも、休みの日に上映会をすることもなくなったなぁ・・・って。

はじめて舞台を観たときのあのキラキラした感情は、今やただの執着心というどす黒くて重たい感情に育ってしまった。
最近はSNS上でも病みツイートしかしなかった私には、一緒に笑いあえるネット友達はもういなくなってしまったんだと思う。

私はほどなくしてアカウントをそっと消した。

アラサー独女の現在

かつての推しやネット友達もといSNSから離れて、今は昼の仕事にも再就職を果たした。
朝はちゃんと起きて夜はしっかりと眠れている。

日常生活にかつての刺激はもうないが、穏やかだ。常にイライラしていたり、周りと自分を比べてしまうこともなくなった。

「マイペースで良い」

ありふれた言葉だけど、それって実は難しいことなんだなと知った激動の若手俳優オタク人生だった。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

私はリタイアしてしまいましたが、みなさんは素敵な推しと素敵な仲間と、共に笑いあえる日々が末長く続きますように。