リア友より仲良くなれたネット友達と、もう会えなくなってしまった話

shindenmaim

初めまして、30代既婚者女性shindenmaimと申します。
これは私が24歳の時の話です。
当時流行していたSNS『mixi』で出会った男性
共通の知り合いがいないからこそ、何でも話すことができ、不思議と心地よい間柄でした。
親友とも言えたと思います。
ネットから生まれた友情の顛末は果たしてどうなったのか、お伝えしていこうと思います。

mixiでのやりとり

私は銀行に勤務していました。
短大を卒業し銀行に入行して5年目。
仕事にも慣れてきたところで、彼氏もおり、順風満帆な日々を送っていたのです。

いつも帰宅後、同僚とSNS『mixi』を使って愚痴のやりとりしていました。
それぞれの日記やつぶやきの更新を確認しつつ、『mixi』のメッセージ機能で会話をするのが日課です。

ある日メッセージを確認すると、「翼」という知らない男性から連絡が来ていました。
「初めまして!プロフ見ました!近いころに住んでるんですね、もしかして、○○駅?」
と、メッセージ。

私は警戒心は持ちながらも、駅名くらいは言っても差し支えないだろうと、
「そうですよ」
端的に返信をします。

すると、
「まじ、同じじゃん!俺、まだ引っ越したところだし色々聞きたい!」
と、地元トークで盛り上がります。

すると最終的に、
「近いし、会おう!話したい!」
提案がありました。

正直なところ引いてしまいました。
私は彼氏もいたので・・・。
ましてやネット上でしか知らない人と会うなんて、考えられなかったのです。

「まぁいつか都合が合えばね?」
適当に遇らいました。

一応、翼くんの写真をチェックしたところ、かなりの美形で驚きました(正直めちゃくちゃタイプ!)。
でも、それでも会う気はなく、いつしかそんなことも忘れて忙しい日々を送っていました。

イケメンすぎる!

それから数カ月、忙しすぎてmixiを開くのも段々と億劫になっていたのですが、久しぶりにログインしてみました。
すると、翼くんからメッセージが何通か過去に届いていたようです。

「元気?」
会おうよ、下心はないからまじで」
「飲みたいだけだし!地元トークしたい!

普通ならしつこいなぁと無視するのですが、なんといっても好みドンピシャな男前で、プロフィールや写真も怪しいところが全くなかったため、これだけ言ってくれるなら会ってもいいかなぁという気持ちに変わってきたのです。

また、彼氏と喧嘩中で気晴らししたい気持ちもありました。

いいよ
と返信すると、
「いや、返事遅っ!何ヶ月ぶりよ?笑」

私にとっては初めて、ネット友達と会うこととなりました。
待ち合わせは最寄り駅のコンビニ前。
私は緊張でドキドキしながら待ちました。

すると、目の前にスーツを着た長身の男性が・・・。
「おまたせ!」
「えぇ??!」

私はびっくりして声をあげました。

翼くんは、写真で見るより更にイケメンだったのです!

芸能人よりイケメン!
それにスーツという武器も合わさり、とんでもない魅力を放ってます!
すらっとした長身で、笑顔も爽やか。

「ごめんね、仕事帰りで少し遅れて。」
「あ、ううん、よく私ってすぐわかったね?
「いや、事前に写真は見てたしさ、行こ!」

そんな会話を繰り返しながら、警戒心が恋心に変わってしまっていた私なのでした。

家に行っても大丈夫?

近くの居酒屋に行きました。
翼くんとは、お酒を交え仕事や恋愛の話をしました。

彼は高校教師をしているのだそうです。
こんなイケメンが先生だったら、生徒にモテるだろうなぁと思います。

ちなみに、彼氏がいるか聞かれましたが、急遽路線を変更した私は、いない設定にしました。
翼くんも彼女はいないようです。

お酒に弱い私は、あっという間にフラフラに酔っ払ってしまいました。

店を出てから、2軒目に行くか聞かれたので、そうだねと答えると、
「大分酔ってるねぇ、もし良ければ、すぐそこが俺の家だしそこで飲む?
と言われ、少し悩みます。

しかし、フラフラだったのは事実だし、お邪魔することにしました。

お互いの本性

ワンルームですが綺麗に整頓されている部屋でした。
ソファに座り飲み直すことになりました。
家ということもあり、先程よりくだけた会話をするようになりました。

私も酔いが回り、視界がグルグルしてきたころ、
「大丈夫?」
と、身体を支えてくれたのかと思いきや、結果そのまま手を出されてしまいました…。

やっぱりネットで友達なんてできない!信用するんじゃなかった!
と、後悔しながらも、流れに身を任せてしまいました。

段々怒りが湧いてきて、行為の後、
「あんた、最低な男だね!これが目的だったんだ」

と、言うと、

「そう!男ならこれが目的でしょ?ちなみに俺彼女いるし」

まさしく、最低野郎の発言が出てびっくり。
でも、私も嘘をついていたのを思い出しました。

「最低、でも私も彼氏いるもん!」
「え、お前も最低じゃん!笑」
と、最低同士で何だか笑えてしまいました。

「俺、実はこんな腹割ったのは初めてだわ、話しやすくて何か言ってしまった、ついでに色々話聞いてよ」

と、翼さんの身の上話をそこから一晩中聞かされました。
私も、同僚や友達に言えないような彼氏との悩みなど、赤裸々に話しました。

すると、私たち似ているなぁと思うところが多々あったのです。
私にはもちろんもう恋心はなくなっていましたが、何でも言い合えることに、妙な心地良さを感じるようになっていました。

マブダチ

その後も、翼くんとはよく電話したり近所で会ったりしました。
彼といる時は、自分を飾らなくていいので本当に楽でした。

翼くんは、彼女が浮気しているかも、と悩んでいた時、
「お前にしかこんな情けない相談できない」
と言ってくれて、嬉しかったです。

身体の関係から入ってしまったけど、その後はそんなことはなく、もっと深い絆が生まれました。

私が、職場の信頼していた男性に襲われ、泣き寝入りしていたことを相談した時は、心から怒ってくれました。

「それは黙ってたらダメ!ちゃんと訴えよう!お前がそんな目に遭ってるのが悔しいし耐えられない、許せない!」
「ごめんね、こんな話誰にも言えなくて、でもそんな怒ってくれると思わなかった」

その時、彼が言ってくれたのが、

「俺ら、友達やん?
ただのネット友達じゃない、もうマブダチだと思ってる。

あんな始まり方したから、それだけと思ってたりする?
違うよ、大事な友達だから、すごく心が抉られてるよ」

私は泣きながらずっと話を聞いてもらいました。
翼くんがいなかったら病んでいたかもしれません。
本当の友情がそこにあったと思っています。

そんな彼でしたが、そこから1年ほど経ったころ、連絡がぱったりと来なくなったのです。
話したいことが溜まっていたのですが、何となく連絡できなくて、胸にぽっかりと穴が空いたような寂しい気持ちで日々を過ごしていました。

ネットでできた友達なんて、末路はこんなものなのかな…。
共通の知り合いがいないので、噂を聞くこともありません。

そして、私が32歳の頃彼のLINEアカウントを発見し、真相がわかりました。
翼さんはあの後、付き合っていた彼女と結婚し、二人の子供ができたようです。

それで連絡が来なかったのか、それでも、友達なら報告の一つくらい欲しかったなぁと思いました。
あの時芽生えた友情は本物だったと思いますが、特に約束されたものでもありません。

その連絡以降、もちろん会うこともなく、私も結婚して思い出として消えて行ったのでした。
今でも思い返すと少し、切なくなります。