FF11のネット友達は風俗嬢だった…。青春の思い出の一ページ。

ホソダ

こんにちは、三十代既婚子持ちのホソダと申します。
これは十代の頃ハマったMMORPG、FF11での話です。
初めての大人の女性との少し切ないおもいでを書かせていただきます。
少し長いですが最後まで読んでいただけると幸いです。

はじめてのMMORPG

FFオタクのクラスの友人に誘われ、春休みの死ぬような引っ越し屋のバイトで稼いで揃えたFF11とPC
当時はオンラインゲームがどういうものかもちゃんとわかっておらず、ただ友達と一緒に遊べるなら、と始めたゲームでした。

とはいえ、いつも友達と時間が合うわけでもなく、もっぱら野良パーティかソロでウロウロすることが多かったですね。
それでも楽しく、ついついレベルの高いエリアに迷い混んでモンスターにボコられることもよくありました。

FF11は敵にやられるとその場で倒れて、誰か白魔導士が通りかかるのをひたすらに待つことになります。
(すぐに復帰もできるが経験値を失ってしまう。)

この日も誰か来ねーかなーっとぼーっと待っていました。
今思うと若さゆえの時間をどぶに捨てるような行為ですが、これがあの出会いに繋がることになりました。

はじめてのギルドとあの子

そんななかたまたま通りかかったヒューム(人間タイプの見た目の種族)の白魔導士に助けていただいたのですが、普段一人でウロウロしている事を言うと、うちのギルドに入らないかとお誘いを受けました。

ギルドとはフレンドの集まりのようなもので、僕は二つ返事でOKしました。
そこにいたのが彼女です。
もともと女の子の少ないギルドで、おそらくリアルで女の子だったのは二人ぐらいじゃなかったかと思います。

それまでゲームなんて男子の遊びで、FF11みたいなコアなゲームに女の子がいるなんて思いもしなかったのではじめてのギルドメンバーの集会に集まったときは衝撃でした。
そこにいたMさん(仮)は見た目小人の種族の可愛らしいキャラでした。

ほぼ紅一点といった感じでしたが別にオタサーの姫みたいなポジションではなく、みんなでただのゲーム仲間としての付き合いをしているといった感じで、変に緊張していたのはガキである僕だけでした(笑)

二人の冒険と大人の世界

ギルド加入からしばらく経ち、馴染んできたところで新たにバージョンアップで実装されたアイテムを取りにいこうとメンバーに誘いを送ったら、Mさん一人が付き合ってくれることになりました。

今までパーティーを組んだことはあっても二人だけということはなかったので緊張したのを覚えています。
とはいえ、見た目ぬいぐるみみたいなキャラ相手に緊張していたのはバカみたいですが、これは彼女の話し方のせいだったかもしれません。
チャットの文章がとても丁寧で、敬語ではなかったのですがクラスの女子のような下品な話し方じゃなく、とても柔らかかったのを覚えています。

アイテムが意外とすぐに手に入ったので、お互い落ちるまでしばらくダベっていました。
彼女は都会でOLしていること、弟が一人いることなど、当時高校生だった僕は大人の女の人としゃべるのが初めてで、しかもこんなプライベートな話題もしたことがなかったのでドキドキしたのを覚えています。

高校生ですと言ったら
「だと思ったw」
と言われ、

「なんか可愛いもん」
と完全に子供扱いでしたが(笑)

その日はログアウトしたあとも何か新しい世界が開けたような気になり有頂天だったのを覚えています。
どうやら彼女も僕の事を気に入ったくれていたようで、それから何度も二人で冒険に出掛けました。

告白とさようなら

というわけで初めてのネット友達となったMさんですが、リアルの友達には
「絶対ネカマ!w」
などと言われてよくからかわれました(笑)

確かになんであのとき疑わなかったのかは自分でも謎です。
若さだったのかもしれません。

その日もMさんと二人で何かするでもなく、近くのエリアをウロウロしていました。
何かもっとプライベートな事を聞き出したいと、僕は進路の相談をしてみることにしました。
そこでの会話が高校生の僕には刺激のツヨイものだったのです。

「実はわたし、ソープで働いてるんだよね…。

今まで体験した業種はなんですか?
という僕の質問に対し、しばらく黙りこんだ後、ボソッとその一言が発せられました。

ソープがいかがわしい風俗業の一種であることしか知らなかった当時の僕は思わず固まってしまったのを覚えています。
今なら需要と供給のある立派な仕事だと思えますが、当時の僕は風俗業なんて不良崩れの素行の悪い人がやるような汚い仕事だと思っていた僕にとってMさんのイメージとあまりにもかけ離れており混乱してしまったのでした。

「同棲していた彼氏がいて…」
「悪い人で騙されちゃって、借金があるんだ…」

ポツポツと流れるチャットにはそんな彼女の身の上が書かれてゆきました。

「ごめんね。引くよね。」
 
きっと彼女も誰かに聞いてほしかったのだと思います。
都会で一人、誰にも頼らず生きていた彼女にとって、ゲームとはいえ話せる相手がいたことが救いだったのかもしれません。

当の僕はと言うとショック硬直から立ち直り、なんと言えばよいか必死に考えていました。
謝らないでください 引いたりしてませんから」
やっとかけたのはその一言だけでした。

「ありがと。でも、もうすぐ借金なくなるんだ。そしたら実家に帰ろうと思ってて」
「そしたら、ゲームもできなくなるかも。」

少しほっとしたような、寂しいような感覚に襲われ、思わず、
「Mさんと一緒に冒険できないのは寂しいです」
とストレートに書いていました。
ほんと若さですね。

「そんなこと言ってもらえるなんて思わなかった(笑)嬉しい」
ホソダ君に話せてよかった 就職頑張ってね」

それがその日の最後の会話となりました。
なにもできないガキの僕でしたが、異性のために何かしてあげたいと強く思ったのはこれが初めての経験でした。

それから一ヶ月後、彼女は実家に帰ると言い残し退会してゆきました。

結局、僕は話を聞くことぐらいしか出来ませんでしたが、彼女のなかで何か救われた部分があったならそれでよかったと今は思っています。
僕の方も勉学が忙しくなってきたこともあり、それから半年ほどで退会しました。

その後、就職し、普通に恋愛し、結婚して今に当たるわけですが、FFの新作のCMを観る度に、あのときの気持ちと共に
「Mさんは今どうしてるだろう…」
と思うことがあります。

今思えば、この経験があったからこそ、ゲームだけじゃなく、現実の社会にもっと目を向けようという気になれたのだと思います。

そういう意味でMさんにはとても感謝しているのです。
長々となりましたが、僕の青春時代にあったネット友達に関する思い出話でした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。