セフレ探しに利用していたアプリのネット友達から本気の恋愛に至るまで

はじめまして、20代の会社員、恵と言います。
この記事は今から2年ほど前、大学生のときに使っていたとある出会い系アプリで出会った人との一夏の思い出です。
お互いセフレになれればと嘘ばかりつきあい、全く本気で向き合わなかった2人。
この2人はどんな結末を迎えるのか、是非読んでいただけると嬉しいです。

適当にしていた出会い系アプリでの至って普通な出会い

毎日毎日、とにかく暇
なんとなく始めた出会い系アプリ
周りの子もしているし、かっこいい人とご飯とか行ければラッキーかな。

なんとなく自暴自棄になっていた私は経験値を増やしたい。
セフレぐらいになれればいいかな、とそれぐらいのありがちな感情だった。
そんなときに出会った同い年の社会人だという彼だった。

お互い嘘で塗り固められた関係

私は、アプリで会った人とそこまで仲良くなる気がないこともあり、通っている大学や出身地、過去の生い立ちもすべて嘘をついていた。
というのも、ネット友達とそんなに関係が深くなるとも思えないし、付き合うとか結婚するとかそんなところまで至るとは全く思えないから。

私は、何人かとアプリを通して会ってきたが、すべての人に適当なことを言っては適当にまた縁が切れていく。
適度に長く仲良い人はできても、所詮人脈作りまでの関係だ。
だけど今回は違って、黙っている時が多く何を考えているかわからない彼の横顔は、私がわからなくなるぐらい魅了していった。

後に知ったが彼も今まで会ってきた女性とは違う
「私はただのネット友達なんかではなくて、分かってくれる」
という雰囲気を感じていたらしい。

私たちは短期間で何回も何回も会い、お互いの好きな映画、ドラマ、考え、小説、そんな話を幾度となく繰り返し、お互いを深く知ってきた。

しかし、私たちはお互いに嘘をついている

カミングアウトはどちらから?涙を流して曝け出した日

後にわかったことだが、彼も社会人ではなく大学生だった。
私は私で嘘で塗り固められた偶像

このままずっと一緒に居続けることになるなら、いつか本当のことを言わなくちゃ、という風に焦るようになっていた。
ネット友達に本気になるなんてばからしいと思いながら、いつでも逃げる理由を作るために私は嘘をつき続けていた。

「ねぇ、恵が黙っているなんて珍しい、どうしたの?」
「アキラくんはずっと恵と一緒に居たいと思ってる?」
心の拠り所だもん」

「でもね、私嘘つきだよ、大学とか出身とか本当は全部違うんだよ、馬鹿だよね、アキラくんに依存しちゃうのが怖いから、嘘をついて自分で自分を制御してるの」
ここで、まさかの返事が返ってきた。

「そんなことどうでもいいよ、どんな環境にいようがなんて言おうが恵は恵でしょ、今ここにいるのが恵でしょ、もう気づいていると思うけど、俺も社会人じゃないし、そんなもんなんじゃないかなぁ、お互いごめんねだよ」
と言われた。

嘘をついている情けなさや、こんなに大切な人にさえすべてを言えないもどかしい気持ちで、涙で前が見えなくなる。
彼が嘘をついている理由も私と同じで、そもそも最初は適当だったとのこと。
それでも私たちは会うたび何となく惹かれて、お互いに嘘をついているという共通点さえも私たちを繋ぐものになった。

すべてを飲み込んで、すべてを認める

そこからというもの、私たちの距離は出会った時よりぐんと縮まった
安っぽい出会いなんていう出会いはなくて、私たちは偶然と偶然が重なり合った奇跡だとも言える。
そんなロマンチックな話をしながら、ネット友達だけだった私たちの関係はいっきにリアルへとおりてきた。

共通の友達もいなければ、今までの生い立ちも全部違う
興味のある学問も違うし、好きなスポーツも違う。

だけど、嘘をついてお互い出会ったことは同じだった。
ただ暇というだけで初めた出会いがこんなに幸せな結果になるとは思わなかった。
人生何があるかわかんないね!なんて言い合いながら彼と一緒にご飯を食べた時は、今までにない感情だった。

彼とは今は違う道を歩んでいますが、一生思い出に残り続ける、私の綺麗な夏の思い出でした。