ケースケ
まだ私が成人を迎えたばかりの頃の話。
普段から女性にモテるとは言い難い私ですが、過去に一度ネット友達からアプローチを受けたことがあります。
当時恋人が欲しくてたまらなかった私でも逃げ出してしまうほどの女性に出会いました。
果たして、それはどんな女性だったのか?
よければ最後までご確認頂けると幸いです。
初めて出来たネット友達
当時私は、某地下アイドルにハマっていた。
それまでアイドルはおろか、大した趣味の一つも持っていなかった為、自分がオタクになるということが新鮮で、ワクワクとドキドキが入り混じったような感情に浸りっぱなしだった。
そんな時、私にある思惑が浮かぶ。
「オタ活用SNSアカウントを作ろう」
それまでライブに足を運んだり、メディア出演の喜びを噛み締めることは、自分一人で行っていた為、共に好きなものを愛でることが出来る同志が欲しくなったのだ。
そうした経緯で、某SNSのオタ活用アカを作った私は、早速同じ推しを崇める同志たちをフォローしていった。
繋がりが増えたことで喜んでいた私は、まだ気付くはずがなかった。
その中の一人のAさんから、後に猛アプローチを受けることになるとは。
順風満帆なオタ活生活
Aさんは、私にいち早く声をかけてくれたフォロワーだった。
次々と同じアイドルを推す人たちをフォローしていったものの、いまいちSNS上での絡み方が分からず、モヤモヤしていたところにAさんはリプライを送ってくれたのだ。
丁寧な言葉遣いで優しく接してくれたAさんに私が心を開くのは、当然のことだった。
AさんがSNSの使い方を教えてくれたことで、私はオタクたちのコミュニティに馴染めるようになっていき、オタク友達は増える一方。
順風満帆なオタク生活が始まり、浮かれた。
ライブやグッズの情報共有、イベントの感想会をフォロワー同士でよく行ったが、数多く増えたフォロワーの中でも一番よく絡むのはAさんだった。
基本的にオタク仲間とのやりとりは、タイムライン上に留まり、ツイートにリプライを飛ばして盛り上がる、というのが常だったがAさんだけは違った。
毎イベントごとにDMで感想を言い合い、あのグッズ買いました!とか自らのオタクライフを曝け出しあっていた。
Aさんは私よりもファン歴が長く、知識も豊富で、尊敬出来る仲間と言えただろう。
それから少し経って、Aさんと直接会うことが決まった。
Aさんは女性だった!
次回のライブに二人で一緒に行かないか、とAさんから誘いがあったのは、SNSを開設してから半年ほど経った頃だった。
Aさんに警戒心もなく、むしろ信頼を寄せていた私は、二つ返事でそのことを了解した。
そうして訪れたライブの日。
私はAさんがどんな人物なのか、心の中で好き勝手に想像するのが楽しかった。
丁寧な言葉遣いや優しさ、アイドルにかける熱量や、グッズの収集率から、Aさんは少なからずお金に余裕のある、独身の気のいいおじさんサラリーマンだろうと私は予想していた。
しかし、その予想は大きく外れる。
Aさんは女性だった。
私は本当に驚いた。
まさかAさんが女性だなんてことは微塵も思っていなかった。
若い女性アイドルに熱をあげるオタクの中に女性がいるとは考えていなかったし、ライブやイベントで女性を見かけたことなど一度もなかったからだ。
Aさんの容姿は、正直に言うと、決して綺麗とか可愛いと呼べるものではなかった。
女性だと知った時こそ驚いたが、魅力を見つけるのは難しく、オタクになってもおかしくないなと思える容姿だ。
更には、Aさんの内面も、SNS上で感じていたものとは大きくかけ離れていた。
社交的で話やすい、温和だと思っていたAさんは、コミュ障と人見知りが半分ずつくらいの、一緒にいて決して楽しい雰囲気にはならない人間だった。
それでも私は出来る限りの努力をして、その日のライブは終わった。
SNSには気をつけろ
私は、Aさんのことを考えざるを得なくなった。
一緒に参戦したライブ後から、Aさんからの連絡が止まらないのだ。
毎日どころではなく一時間、いや数十分ごとにDMが来る。
今までどおり、アイドルについての内容もあるにはあったが、そのほとんどが私のプライベートを尋ねる内容だった。
どこに住んでいるのとか、好きなものは、今度また会えないかなど、男子中学生か高校生を思わせる文面と、Aさんの変貌っぷりが怖くなった私は、泣く泣くオタ活用アカウントを削除した。
ブロックするという手もあったが、こちらから攻撃するような気がして実行には至れなかった。
今でも疑問に思うが、なぜ私に好意を抱いたのだろうか。
決して容姿は良くない。
恋人なんていたことがないし、恋愛も小学生の時に隣の席の女の子を好きになった程度だ。
受け取って嫌な気持ちになる好意などあるわけないだろう、と思っていた私だが、それから考えが変わった。
この記事を読んでいる皆さんも、SNSでの出会いは慎重に、お気を付けて。
ここまでご覧頂き、ありがとうございました。