かみかぜ
20歳女子大生のかみかぜです。
この話は私が小学校高学年の時、某ブログ内でのチャットで出会った同じ年齢の男の子についての思い出話。
本州に住んでいた私と沖縄に住んでいた彼、普通の小学生なら会うことは出来ずせいぜい電話が精一杯。
しかし単純な私はそんな会えない彼に恋をしてしまった。
そんな私の恋話です。
最後まで読んでくれると嬉しいです。
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ネット友達との出会い
小学生の頃、私はパソコンを触っていても、アニメを見たり、たまに調べ物をするだけだった。
そんなある日、友人がブログをしているからコメントしにきて!と言って私に無理やりアカウントを作らせ、彼女のブログを見に行くことになった私。
コメントをつけてもらって満足そうな彼女を横目に私は他のブログを見ていった。
そうすると、やはり女子中学生や女子高生など自分より上の年代の人たちが自分の写真を載せて可愛いアピールをしていた。
今ほど個人情報を晒すことに抵抗がなかった時代なのかしっかり顔が写ったものばかりだったように思う。
「みんな自分のこと大好きだなぁ」
と半ばあきれていた頃に私は同じ年齢の男の子のブログを発見した。
投稿されていたのは何気無い雲の写真。
動く雲を眺めて時間を潰すことのできる私には雲の写真を上げている彼も同じタイプなのではないかと気になった。
そこで私は
「雲好きなんですか?」
とだけコメントを残してみた。
コメントを投稿し終わったところで友人が次のブログの内容を相談してきた。
「やっぱ顔写真出したほうがいいかなぁ?」
って。
「いいんじゃない?」
と少し適当な返事をして私はパソコンを閉じた。
ネット友達との初めての会話
次の日になって私は思い出したかのようにパソコンを開いて返事がきてないか確認した。
すると、
「雲好きですね!なんか眺めてるだけで時間潰れちゃいます笑」
と返ってきていた。
この人も雲が好きなんだと嬉しくなった私はそこから彼といろいろな話をした。
年齢が同じであること、好みのアニメが同じであることなど様々な共通点が見つかった。
ただ住んでいる場所だけは大きく異なっていた。
この時代、ネットで彼氏彼女がいるのが当たり前な時代。
彼氏彼女と言ってもチャットでいちゃつくだけなのだが。
私たちはそういう関係になった。
「実際会ってみたい!」
彼にそう言われた時幼いながらも私はその気になり、どうにか会えないかと考えた。
親にも言えないし一人で行けるわけもない。
結局会えるわけはないという結論で終わってしまった。
会えはしないが声だけは聞きたいので電話番号を教え合い、よく電話をしていた。
今となってはとても危ないことだと思うが、幼い私はそんなこと考えもしなかった。
同じ学校の男子なんか全く眼中にない私は会えもしないのに彼に惹かれ、いつの間にか本気で恋をしていたのだ。
修学旅行
6年生になり修学旅行が近づいてきたある日、修学旅行の行き先は沖縄であると担任に伝えられた。
沖縄なら彼に会えるのではないかと淡い希望を抱いていた私。
しかし、修学旅行は学校行事。
単独で行動できるはずがない。
彼に修学旅行の行き先が沖縄であることを告げると彼はとても喜んでいた。
「もしかしたら会えるかもね!」
って。
そんなはずはないと私はわかっていたが、
「会えるといいね」
と彼に合わせて返事をした。
修学旅行中も携帯を持っていた私は少しの間でも彼と話をしたいから合間をみては彼にメッセージを送っていた。
彼はオススメの食べ物やお土産を教えてくれる。
それを班の子たちに紹介していると班の子達もとても喜んでいた。
班行動をしていると彼から電話がかかってきた。
「今どこいるの?」
って聞かれて私は素直に
「国際通りの◯◯にいるよ」
って返事をした。
「じゃぁちょっと電話繋いだままにしてて」
そう言われてなんだろうと思っていると後ろから肩を叩かれた。
「え?」
と後ろを向くと同じ年齢くらいの男の子が立っていた。
「会いたいから会いにきたよ。」
そう、そこに立っていたのは私が会いたかった彼だった。
わざわざ私に会いにきてくれたのだ。
今思うと国際通りなんて広いし人多いし見つけるのだって難しいのに見つけた彼はすごいと思う。
テンパっていると班の子が
「その人がさっきまで教えてくれてたお店紹介してくれた人?」
と聞いてきた。
素直に
「うん」
と言った。
すると班の子達が
「私たちここで買い物してるから2人でお話ししてきなよ。」
と気を利かせてくれた。
彼女たちは今思うと大人だなぁと思う。
そうして彼と2人で会えた喜びで泣きながら少しの間話をした。
時間も経ったため班行動に戻り彼とお別れをした。
「また会おうね」
とだけ言って。
現在
それから少しして彼も彼女ができ、現実を見た私も彼氏を作ったりして年相応の人生を歩んできた。
そして今お互い大学生になった今でも連絡をたまにとっている。
自分でバイトして貯めたお金もあり、高校の頃の友達が沖縄の大学に行っていて、その子と遊ぶ約束をしていた。
そのため、
「高校の頃の友達に会いに行くからついでに会おう」
と言って彼と会う約束をした。
そうして2回目の彼との出会い。
彼は背も伸びてイケメンになっていた。
可愛い彼女もいるらしい。
相変わらず雲を見るのが好きなんだってさ。
私の初恋の彼はやっぱりいい男だったなぁと思いながらたわいもない会話をして
「また機会があったら会おうね。」
別れを告げた。
1人で雲を眺めて歩きながら
「もっと近い場所に住んでいたら現実で付き合ったりして一緒に過ごしてたのかなぁ」
と考え私は友人の家へと歩いて行った。