ネット友達がくれた歌と希望、私に元気をくれた人との出会いと別れ

花梨

こんにちは。
20代女性の花梨です。
これは、私が中学生だった頃、mixiを通じて出会ったある高校生のお話です。
歌が上手だった彼は、私に元気をくれました。
彼との楽しい時間は長くなかったけれど、今でも私は彼のことを思い出します。
私が彼とどう出会い、そして別れたか、少しだけお話しさせてください。

ネット友達との出会い

私は中学3年の時、ミスチルにハマっていました。
しかし、同世代ではファンが少なく、なかなか話ができず…。

そんな時に見つけたのが、mixi内のミスチルファンの人が集まるグループ。
年代は様々で、ほぼ年上の人ばかりです。
それでも、大好きな曲の話ができて、私は毎晩チャットするのが楽しみになりました。

そんな中、2歳年上のはるくんという人とよく会話するようになります。
はるくんは高校生で、ギターが上手でした。
たまにミスチルのカバーをしたり、オリジナルの曲を歌っていると聞き、意を決して「聴きたい」とメール。

思えばそれは、女子校に通っていた私にとって初めての異性へのメールでした。
特に恋愛感情は持っていませんでしたが、心臓が飛び出そうなくらい緊張したことを覚えています。

はるくんとのふれあい

はるくんからすぐにメールで音源が届きました。
メールで送れるデータには制限があって30秒が限界でしたが、はるくんは良いものが録れる度に送ってくれるようになりました。

はるくんは胸の内を吐き出すような激しい曲や、思わずノリノリになる明るい曲まで何でも歌いこなせるんです。
私ははるくんが曲を送ってくれる度に、長文の感想を送りました。
今思い返すと黒歴史ですが、はるくんはいつもありがとうと絵文字をつけて返してくれました。

もちろん、グループの他のメンバーともチャットを楽しんでいましたが、はるくんの存在が私の中で日に日に大きくなっていきます。
受験を控えていた私は、勉強に追われる毎日でしたが、はるくんの歌を聴くと元気になってやる気が出るのでした。

ショックな出来事

そんなある時のこと。
はるくんが突然チャットに現れなくなりました。

私含めたメンバーみんなは、しばらく様子を見ていましたが、1週間経っても2週間経ってもはるくんは来ません。
今まで毎日必ず会話していただけに、何かあったのではないかと皆心配し始めました。

もっとも、みんなよりずっと私は気が気ではありませんでした。

実はチャットに現れなくなる2日くらい前に、
「これから忙しくなるからあんまり話せないかも」
とメールを貰っていたのです。

その時は学生だしテストがあるのかな?
くらいに思って、本当は話したくて仕方なかったけれど

「わかった。
無理しないでね」
とだけ送りました。

精一杯の我慢です。

はるくんがチャットに現れなくなってから1週間経って、迷いながらも

「大丈夫?
みんな心配してるよ」
と送りました。

その後、返信はありませんでした。

はるくんがいなくなって

その時になって、私ははるくんのことをあまり知らないことに気付かされます。
もしかしたら家で何かあったのかもしれない、お母さんに怒られたのかな。
まさか…事故に遭ったんじゃ…。

そう思う度にメールしようと思うのですが、はるくんが
「忙しくなるから」
と言っていたのが気になって、メールできずにいました。

はるくんの連絡先はメールしか知らず、私は何かしたくても何も思いつきません。
そのうち受験が近づいてきて、それどころではなくなっていきました。

その後

はるくんはきっと何かあったんだ。
でもいつか必ずチャットに戻ってくるはず。
だから信じてみんなで待っていよう。

いつしかチャットメンバーの中では、温かい連携が生まれていました。

日々新しい人が入るチャットは、知らない人も多くなって、私はだんだん参加しなくなりました。
今まで毎日当たり前のように会話していたけれど、結局は会って話している訳じゃないから。
いつ誰がいなくなってもおかしくない。

私はそう思うようになっていました。
無事に高校に合格してから、久しぶりにチャットを覗きました。
すると、驚くべきことが分かったのです。

なんと、はるくんは歌手デビューすることになりました。
姿を消してから半年後、はるくんは突然チャットに現れ、歌手になる報告をし、メンバーにお礼を言っていました。

私は慌ててはるくんにメールを送ろうとしました。
はるくんの書き込みから3か月経っています。
今更だけど、私もお祝いしたい。

しかし、その思いは虚しく、メールは届きませんでした。
アドレスが変わっていたのです。

わたしははるくんの本名すら知りません。
でも、はるくんのおかげで、楽しい時間を過ごすことができました。
元気ももらいました。

今も、きっとどこかで歌っているはるくんを探してしまう自分がいます。
はるくん、変わらずその素敵な声で人を元気にしてね。
私にしてくれたように。