愛
私は、20代後半双子の母親愛です。
この記事は、私が今から5年前に相談に乗ってもらっていたホストとの恋に落ちた実体験です。
女性を相手にする仕事でもあり騙してしまうこともある彼と、どの様な出会いをしたのか?
そして二人の恋の結末はどうなるのか?
最後まで確認していただけると幸いです。
なお、この記事はノンフィクションですが、登場する人物名と店舗名は関係ございません。
それでは最後までお楽しみください。
目次 閉じる
ネット友達の正体は!?
普段から精神が安定してない私は、SNSで悩みや愚痴を呟いていた。
その日は、当時指名していたホストと些細なことで喧嘩をしてしまい、不満を呟いていた。
「愛ちゃん、また担当さんと喧嘩したの!?」
一通のDMが来た。
悠くんからだ。
彼は、ここで知り合った相談相手。
仕事を聞いたことはないが、ホストを担当と呼んでいるから多分ホスト。
でも、彼は3歳しか離れていないのに、大人の対応をする。
いつも私が落ち着くまでDMを送ってくれる。
だが、今回は私が落ち着くと
「DMでも大丈夫だけど、気づかないときがある。
LINEだと助かるんだけど、ダメかな?」
こう言ってきた。
私はLINE IDを教えてもらい追加すると、息が止まりそうなほど驚いた。
だって悠くんは、歌舞伎町の有名店舗Rで不動のNo.1ホスト優さんだ。
雑誌にもよく特集されており、ホストに行く人なら大体が知っているほどの有名人だ。
私も会ってみたいと思いお店に行ったが、優さんは新規のお客様の席には付けないらしい。
その人が、まさかの悠くん!?
有名人ホストは、強引!?
「え?
悠くんってもしかしてあの有名なRの優さん!?」
「有名かどうかはわからんけど、せやで。
もしかして俺のこと、知ってるん?
めっちゃ照れるわ(笑)」
「当たり前に知っているよ(笑)
会いたくてお店に行ったけど、優さんは新規の席には付けないって言われたもん。」
「あっそうなん?
それは、ゴメンな。
じゃあ、今日おいでよ。
愛ちゃんさえよければだけど、俺も愛ちゃんに会いたい。」
「え?
いいの?
行きたい(笑)
何時くらいに行けばいい?」
「何時でも大丈夫だから、同伴しよ。」
「え?同伴?
それは、流石に緊張するから絶対ムリ。
それに、他のお客様にも悪い。」
「緊張するとか可愛い(笑)
それに他のお客様のことなんか気にしていたら、キリがないで。」
「でも、他のお客様に見られて迷惑かけるのはヤダ。」
「マヂ愛ちゃんはいい子や。
わかった。
Wっていうお店の場所知ってる?
そこで一緒にご飯食べてから、お店に行こう。」
「わかったって言ってわかってない(笑)」
「同伴してくれないなら、俺死ぬで?」
「マジで強引すぎる(笑)
もう、わかった(笑)
今から、用意して行くね。」
結局同伴してアフターも強引に誘われたが、すごく楽しい時間だった。
「悠くん、今日は楽しかった。
ありがとう。」
家の前まで送ってもらい、お礼を言うと彼は真剣な顔で
「なぁ、愛ちゃん。
俺じゃダメ?」
「え?」
急すぎて意味がわからず、困惑してしまう。
「ここまでちゃんと仕事を理解して、気遣ってくれる女子初めてやねん。
それに、一緒にいて楽しかった。
マジで好きになりそう。
なぁ、俺と付き合ってくれへん?」
いきなりの発言に驚いて固まってしまう。
確かに、彼は私のことを理解してくれる。
それに私も楽しかった。
でも、彼は人気ホスト。
他のお客様にも悪いし、モテるに決まっている。
私とじゃ不釣り合いすぎる。
いろいろ思考を巡らせながら、なんて答えればいいかわからないでいると、いきなりキスをされた。
さらに驚いて固まっていると、
「ゴメンな。
きっと愛ちゃんのことだから、他のお客様に悪いとか、不釣り合いだとかいろいろ考えている?
でも、職業柄俺のこと信じられないかもしれないけど、俺だって男やで?
恋愛だってするよ。
不安にさせないように頑張るし、大事にするから付き合って。」
そう言われて、頭を撫でられた。
彼の真剣な思いが、すごく嬉しくて承諾した。
こうして、私達の交際が始まった。
愛が病気!?
私達が、付き合い始めて2年が経過した。
最初の頃は言いたいことが言えなくて怒っていたけど、その度に彼は話を聞いてくれた。
今では喧嘩もするが、ちゃんと仲直りしている。
そんな時、事件が起きる。
その日は、飲み友達と久々に飲みに行こうと話をしていたが、仕事の途中から右目に違和感を感じていた。
めばちこか何かと思いつつ、久々に飲んでいた。
普段千鳥足になることはないが、その日はまっすぐに歩けない。
右目も開けているつもりなのに閉じている。
階段を降りようとすると階段が、二重に見える。
なんとか家の近くまで着いた頃には、足にも力が入らなくなってた時だった。
急に足から崩れ落ちるように転んだ。
立ち上がろうにも足に力が入らなくて、立ち上がれない。
周りの人が助けてくれ、すぐさま救急車が手配されたが、救急隊員もなんの病気かわからない。
とにかく、近くの救急病院に運ばれ、診察を受けた。
診察が終わった後、医師から驚きの病名を聞かされる。
それは、『フィッシャー症候群』。
聞き慣れない病名だ。
それもそのはず2百万人に1人の確率でしかない珍しい病気だった。
そこから、私の辛いリハビリ生活が始まった。
ずっと愛している!!
リハビリ生活は、思ってた以上に辛かった。
今まで当たり前にできていたことが、急にできない。
一見、簡単そうに見えるリハビリも、筋肉がないためすぐに疲れる。
彼は、毎日営業前にお見舞いに来てくれていたが、ストレスで八つ当たりばかりしていた。
それでも彼は、文句を言わず宥めてくれて、私の大好きなプリンを買ってきてくれた。
それが、すごく申し訳なくて辛い。
そんな時、地元の病院に転院が決まった。
退院後のしばらくの生活を考えると、少しの間は両親の元で生活すべきと両親と担当医が、話していたからだ。
以前、彼と遠距離恋愛はムリだと話していたことがあった。
こんな時にその話題を思い出す。
私は、意を決した。
転院前日、彼とお互いの気持ちを話して別れた。
その晩は、もう涙なんて一生出ることなんてないかと思うくらい泣いた。
転院して数ヶ月後には、通院は必要だが一応完治した。
ある日、携帯に着信が入った。
知らない番号からだ。
「はい。」
「愛!?
俺、悠。」
「え?
悠!?」
「妹から自宅療養しているって聞いて電話した。
とりあえず退院おめでとう。
愛と親御さんに話があって電話した。
親御さんに代わってもらえる?」
「え?わかった。ちょっと待って。」
父親が少し話をして電話を切った。
内容を聞いても答えてくれない。
とりあえず明日、彼が家に来るとだけ話してきた。
不思議に思いながらもその日は、もう何も聞けないでいた。
次の日、彼は見たこともないような正装で実家に来た。
親も彼が来たせいか、いつもと違う雰囲気。
とりあえず彼が、私と話したいと言ってきた。
戸惑いながらも了承し、自分の部屋に案内する。
「話って何?」
「マジでいきなりだな(笑)
俺、愛と別れてすぐにホスト辞めた。
実は、前々からホスト辞めて愛と結婚したいと思っていた。
でも、愛の病気がわかってプロポーズしても絶対愛が、屁理屈言って承諾してくれないと思ったから、言えなかった。
あの時、別れたのも本音はイヤだったけど愛がずっと悩んでいたのも知っていたし、愛が決めたことだから受け入れようと思った。
でも、やっぱり愛がおらんと俺何もできんわ。
今更、虫がよすぎるかもしれんけど俺と結婚してください。
一生幸せにしてみせます。」
死ぬほど嬉しくて涙が止まらない。
別れてからずっと、彼を思い出さない日はなかった。
後悔さえした。
これからは、二人で色んな困難を乗り越えていきたい。
だから、答えは決まっている。
「もちろん喜んで。」