ゆい
今回書くのは6年程前、私がまだ高校生だった時の話です。とあるSNSで仲の良かった男の子に救ってもらいました。
学校にも友達はいたのに、会ったこともないネット友達に救われたという出来事は今でも忘れられません。
何気なく作ったSNSアカウント
高校生の頃私はとある女優さんのことが好きでした。
しかし周りにその女優さんを好きな友達はおらず、誰かと女優さんの良さを語り合ったりドラマの感想を言い合ったりしたいなと思ったのがSNSを始めたきっかけです。
それまでSNSはあまりやったことがなかったのですが、アカウントを作ってみると同じようにその女優さんを好きなファンの方々と繋がれて、とても嬉しかったのを覚えています。
アカウントを作ってしばらく経つと仲のいい子も何人か出来てきたのですが、その中の1人が私を救ってくれたまさと(仮名)です。
まさとは住んでいる所は遠かったですが、同い年で共通の趣味も多くすぐに仲良くなりました。
初めはSNS上でのみ話していましたがそのうちメールアドレスも交換して、リアルの友達のように色々なことを話しました。
会ったことはないけれど私の中では大切な友達の1人になっていました。
まさかSNSきっかけで友達が出来ると思っていなかったのですごく嬉しかったです。
誰にも言えない悩み
学校では仲のいい友達もいて、好きな人もいて充実していたのですが思春期特有の悩みというか色々と考え過ぎてしまって学校を休む日が増えてしまいました。
友達に打ち明けられればよかったのですが、言ったらどう思われるかなどを心配してしまい誰にも打ち明けられず「体調が悪い」と説明していました。
最初は小さかった悩みが、段々と大きくなり学校も休みがちになると、学校へ行った時に仲のいい友達達が私が休んでいた日に起こった私の知らない話題について話していたり、私が体調悪いと思い気を遣って遊びに誘われないことが数回あり孤独感を感じました。
友達は意地悪をしている訳ではなく、気を遣ってくれているのだと分かってはいるのですが次第に学校も全く行けなくなってしまいました。
両親に呼ばれ、行かないことを責められ呆れられて家を出ていけと言われた時にもう私の居場所は何処にもない気がして初めて自殺を考えました。
テレビを見たり好きなことをすることもなくなり、ただぼーっと過ごしながらどうやって死のうかなということを考えたり自殺の方法を調べて探していました。
思いもよらないメール
ある日、1件のメールが来ました。
迷惑メールかな?と思い開くとそれはネット友達のまさとからでした。
急にどうしたんだろう?と思うとそこには
「最近SNSにいないけどもしかして何かあった?
学校の友達には言いにくいこともあると思うし俺でよければ話聞くよ。
勘違いだったらいいんだけど!
いつでも連絡してね」
という文と共にまさとの電話番号が書いてありました。
気にかけてくれてる人がいると思うと、涙が溢れて気がつくとまさとに電話していました。
まさとはすぐ出てくれて、私は学校の友達にも言えなかった悩みを初めて打ち明けました。
途中から泣いてしまって聞きにくかったと思いますが、何も言わずにただ
「うん」
と相槌を打って聞いてくれました。
一通り私が話し終わると
「俺もね…」
とまさとが話し始めました。
まさとの話によると、彼は学校でいじめられ友達もいなくて自殺を考えたことがあるそうです。
そんな時に作ったのがあのSNSのアカウントで、そこには優しい人が沢山いて自分の居場所が出来たと思い救われ、学校に友達がいなくてもここに友達がいるからそれでいいんだと思い自殺を考えることもなくなったと話してくれました。
「辛いことがあったらまたこうやっていつでも聞くから、一緒に頑張ろう。
ゆいの居場所はここにあるよ」
とそう言ってくれたんです。
私は本当に嬉しくて一気に心が軽くなりました。心配してくれる人が1人でもいるということにとても救われました。
弱さを見せる強さ
まさとに励まされ、また学校に行くようになると友達は以前と変わらず接してくれました。
「大丈夫?」
ととても心配してくれたので、前は出来なかった悩み相談を学校の友達にもしたんです。
すると、真剣に聞いて「ごめんね」と謝ってくれました。
受け入れてくれたんだと思い、話すことの大切さを実感しました。
更にその後勇気を出して両親にも打ち明けました。
両親も謝ってくれて私の悩みを理解してくれました。
私はこんなに温かく私のことを受け入れてくれる人達に囲まれていたんだとその時初めて気付き自殺を考えたことを後悔しました。
まさとがあの時メールをくれなければ、私は自分の弱い部分を人に見せれずいつまでも抱え込んだままだと思います。
まさとは私が人生で初めて心の悩みを打ち明けた相手であり、命の恩人でもあります。
今は結婚して子供もいる彼の幸せをいつまでも願っています。