ユースケ
この出来事は今から15年も昔になるでしょうか、mixiで出会ったナースとの物語です。
始めは盛りあがって恋愛に発展していくと思っていた私でしたが、なぜかおかしな方向に・・・。
それではご覧ください。
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mixiでの出会い
20歳で短期大学を卒業して以来、私はまったく出会いの無い女日照りの日が続いていました。
そのころ兄弟に紹介されたのはmixiでした。
出会い系の掲示板など、具体的な地域が絞れずに知り合ったとしても遠方で出会えないなど多くあったのですが、mixiは現住所、出身地などことこまかに明記されており、女性を釣りやすい格好の環境でした。
かといってなかなか近場の人間に一斉にメッセージを送っても、どこで知り合いがつながっているかも怖いため、隣県で車で行ける範囲内の距離の女性をターゲットにしました。
その人は田舎でナースをしているリコという子ですぐに意気投合しネット友達となり、毎日メッセージをやり取りする中になりました。
リアルでのデート
リコとは毎日メッセージを交わしました。
仕事の事、プライベートの事、下ネタなんかも話し合える仲になり、いよいよリコの地元でデートをすることにしました。
初めてのデートは普通にハンバーグがおいしい喫茶店のようなところに食事に行き、ドライブなんかをした後に、最後はファミレスで会話をしました。
会話は盛り上がり、若かったこともあり朝までしゃべっていました。
リコは徹夜したまま仕事に行き、帰った後も
「すごい眠いよー笑」
など、かわいいメッセージが届いていました。
初めてのデートはすごい好印象で、手ごたえをつかんでいました。
しかし、これも完全なるリコの布石だったのでした。
2回目のデートは友人の同伴?
1回目のデートの後も相変わらず会話は盛り上がり、2回目のデートの話となっていました。
2回目のデートは、わざわざ私の地元に遊びに来てくれるという事で順調に恋愛がスタートしていく予兆を感じていました。
ただ、一つ今回気になったことがありました。
それは
「友達も一緒に連れて行っていいかな?」
そう打診されたことでした。
私は
「じゃあこっちも人数合わせる?」
そう聞くと
「いや、別にいいよ呼ばなくても」
そう答えが返ってきました。
私は少し気にかかりながらも2回目のデートを迎えました。
待ち合わせ場所に行くと、確かに友達とリコは来ていました。
友達の名前はミナ、軽く挨拶を交わして私たちはビーフシチューのおいしい喫茶店に入りました。
喫茶店は混んでいて、食事が出てくるまで少し時間がかかっていました。
すると、ミナの方が小声でリコに対して
「あのことはもう話した?」
「いや、まだいってないよ」
そんな会話をしていました。
不思議な顔で私は2人を見ていましたが、おもむろにミナが1つの書類を取り出し、話始めました。
「給料はいくらもらってる?
全然たりないんじゃない?」
私があっけにとられて何も言えないでいると、ミナがまくしたてます。
「ネットワークビジネスって紹介受けて入ると、何%か安く商品を仕入れることができて、利益が多く取れて・・・・」
そう、それはネットワークビジネスの誘いでした。
ネットワークビジネスはかつてのねずみ講とは違い、悪質ではないものの自分一人の話術で人に商品を売っていかなければならない諸刃の剣。
リコは私がどう考えても営業向けでないことを知っていて、友達と一緒にネットワークビジネスを進めてきたのです。
簡単に言えば、利用できる馬鹿な男が引っ掛かったと心の中では思っていたのでしょう。
私は心底がっかりしてしまい、
「いや・・・残業代とか出ればそれなりにもらえてるから・・・」
そう一言搾り出すのが精一杯でした。
そのあと、どんな会話をしていたのか覚えていません。
はぁ、とか、そう、とか生返事をした覚えはあります。
そうして私たちは2回目のデートを終えました。
リコとの別れ
私はがっかりした感情を覚えた後、色々と家で考えていると悲しい気持ちでいっぱいになってきました。
そこでリコに対して
「何であんなことをするの、そうするしかなかったの?」
など感情に任せて書きなぐりました。
しかし、リコからはいっさい返事は来ませんでした。
ミナと違って、リコは申し訳なさそうな顔でずっといたので罪悪感はあったのでしょう。
それ以来、ミナやリコと会うことはありませんでした。
ただ、他のmixiをやっている友達に聞くとそういうやつらがいるらしいという噂はまだ聞こえてきます。
お金がすべてなのでしょうか、お金が悪いのでしょうか。
でもなぜか、今もリコには幸せになってほしいと思う私がいるのでした。